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夜の夜長は映画でも ~映画DVDレビュー~

邦画洋画問わずお気に入り映画DVDをレビューするブログです。多少ネタバレも含まれていますが、最新の映画をメインに映画大好きな人に少しでもお役に立てるようなブログを目指しております!!  落ち込んだ時に観る映画。皆でガヤガヤ観る映画。スカッとしたいときに観る映画。恋人や愛人と観る映画・・・時には考えさせられたり人生観を変えられる名作に出逢うことがあります。 ジャケ写をクリックするとここから購入することもできます。

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南極料理人 豪華版 (初回限定生産) [DVD]

南極料理人 豪華版 (初回限定生産) [DVD]南極料理人 豪華版 (初回限定生産) [DVD]
出演:堺雅人 /生瀬勝久 /きたろう /高良健吾 /豊原功補
バンダイビジュアル
発売日 2010-02-23
オススメ度:★★★★




見れば見るほど味のある映画 2010-02-23
南極での男8人の共同生活。
主役はもちろん料理人である西村淳さんですが 物語の中の本当の主役は「食事」
物語の中で西村さんが「皆様、お昼になりました〜」と自転車に乗りながら 呼びかけるシーンに使われる音楽は「ワルキューレの騎行」 あのスケール感あふれるクラシックがこの物語の中で いかに食事が偉大なものであるかを表しているようです。
そして、主役の西村淳を演じる堺雅人さん。
もう、映画の撮影である事を忘れて、ひたすら料理を作る事に没頭しているとしか 思えない真剣な表情がとても素敵です。

あと、個人的には字幕をONにして鑑賞する事をお勧めします。
何気なく聞き逃してしまいそうな隊員たちのセリフも 字幕でしっかりチェックしながら見ると面白さが倍増しますよ。

極寒の単身赴任、男八人四畳半コメディ 2010-01-02
コメディといいながら笑わせようなんて仕草はこれ〜っぽっちもない。

 登場人物達は極寒の単身赴任の日常を淡々と過ごす。

演じている俳優陣もいたって大まじめに芝居をしている。

でも端から見てるとなんか変。

 爆笑、感動、号泣…ありません。

しかし劇場内から聞こえるクスクスクスッという静かな笑い声。(いやほんとに) そんな映画です。

 音楽は一度聞いたら忘れられない、の〜んびり、ゆるっと秀逸です。

邦画で初めてサントラ買いました。
そうそう、見た人は分かるのですが「えっびフライ♪えっびフライ♪」見終わると口ずさんでます。
あと夜中に内緒でラーメン食べたり、ストレスでバター丸かじりすると西村君に見つかってしまいますよ。

極限下の面白人間ドラマ 2009-12-10
深夜、小腹が減ったら、ちょっと外へ出てコンビニへ。

蛇口をひねれば、キレイな水がいつでも使える。

人恋しくなれば、ちょっと街まで出かけて、人ごみに酔ってみたり。

そんな当たり前のことができない地。

それが南極。

しかも、タロやジロがいた『昭和基地』とは違い、

標高は富士山よりも高く、生物はおろか、ウィルスさえ生存できない

厳寒の『南極ドームふじ基地』で繰り広げられる

8人の観測隊員の、面白おかしい物語です。

主人公・西村淳(堺雅人)は、隊員のために毎日料理を作る料理人。

決められた物資の中から、栄養のバランスや、メンタル面の維持なども考慮した上で、

毎日の献立を考えなければならず、和洋中にも通じていなければならないという

とっても責任重大な仕事を担っています。

ただ、本人が望んでこの仕事に就いたかというと・・・。

原作は、実際に南極観測隊員として南極で調理を担当していた西村淳(本人)の

エッセイ『面白南極料理人』で、本物のエピソードの持つ説得力と、現実の奇妙さの

バランスが、いい塩梅に交わり、心静かに展開を見守っていける良作に仕上がっています。

配役も、生瀬勝久やきたろう、豊原功補など、個性豊かで、尚且つ実力も伴う名優ばかり。

実に生き生きとしたキャラクターを演じています。

普段の生活からは、決して想像のできない厳しい環境の下で、ちょっとずつコワれていく人々や、

着々と築かれていく絆など、ものすごくシンプルだけど、スッとのめりこんで行き、

上映時間が終わるころには、

「もう終わってしまうのか」「もうちょっとこの感覚に包まれていたい」という

余韻が残りました。

音楽は、最近活動再開したユニコーンの阿部bが担当し、ほのぼのとした雰囲気を

最大限に生かしていました。


・・・そーいや、生瀬勝久と堺雅人って、『やさぐれパンダ』でのコンビでしたね。

どーりで息ピッタリな筈^^


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カムイ外伝 [DVD]

カムイ外伝 [DVD]カムイ外伝 [DVD]
出演:松山ケンイチ /小雪 /伊藤英明 /佐藤浩市 /小林薫
SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)
発売日 2010-02-17
オススメ度:★




それなりに面白い 2010-01-09
私は、白戸三平ファンを自認していますが、事前の原作ファの多くから不評の声が聞こえてきたので、あまり期待せずに観たからでしょうか、案外面白く観ました。

まずは、馬とか、登場人物の格好とか、世界観を作るのを頑張っていたと思います。山崎努のナレーションも渋かったし。

また、キャストも松山ケンイチのカムイは魅力的でした。走り方が忍者っぽい。(笑) 『抜け忍』の孤独とやるせなさは感じられたと思う。それに、大後寿々花演じるサヤカの思春期ならではの心情を切なく、ときに激しく演じてよかった。

原作は元々”痛快時代劇”や”感動する話”ではありません。カムイの世界観をベースに暗い話だけを見せず、エンターテイメント作品に仕上げようとしたのは間違っていないと思います。

わざとなのかもしれないですけど、CGがチープ。アクションは、それなりにカッコイイからアクションシーンをもっと増やして欲しかった。

ただ、本作の大前提として、崔監督なら、もっと骨太の作品に、クドカンの脚本ならもっと痛快作品に、二つの才能が融合してさらに昇華したものが観たかった。


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火天の城 [DVD]

火天の城 [DVD]火天の城 [DVD]
出演:西田敏行 /福田沙紀 /椎名桔平 /大竹しのぶ
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
発売日 2010-02-21
オススメ度:★★★




困る 2010-02-13
最近の洋画は、中世、神話の時代を題材に、結構面白いダーク・ファンタジーな映画を供給している。
戦国時代という興味深い題材を活かして行けば、邦画はそれらに対抗出来る面白い映画を もっと供給出来ると信じている。(例えば『もののけ姫』アニメではあるが...)
数年前に本作の原作を読了し、安土城後を訪問したこともある私としては、このDVDを 非常に楽しみにして見た。
結果は、他のレビュアーの方のコメントに明白に述べられているように、

・本筋である築城話が弱い、薄い。弟子たちの演技が、あまりに空々しい、よって盛り上がらない。

 (山本太郎が一人浮いているし、寺島進はSWATの小隊長にしかみえない。)

秀吉役の河本はダメだろう.. 築城奉行の丹羽にしても、建築と石材料の両棟梁に、そんなに簡単に刀を抜いては信長に叱られるだろう。

・挿話が伏線もへったくれもなく、突然始まって、突然終わる。本筋以上に薄い。

 テロ集団のくだり(これを経て、皆がまとまる、という重要な話なんだが..) なんかは、伏線を張って、何時来るのかと見る側をジリジリさせないと、いきなり始められても 単なる通過イベントとしてしか見る側は捕らえられない。 死んだはずの弟子が松葉杖ついて突然帰還して、いきなりノミを振るい始めるのなんかは、、 もうポカンと口を開けて見送るしかない。(多分、失踪してしまった経緯説明等はあったんだろうが、編集で割愛したのか...)
娘、福田某の演技は...あれで本当にOKYだしたの?

緒方直人が、何で西田を殴打し続けるのかも意味不明。

西田敏行も椎名(信長役はつり目がぴったり)も熱演なんですが、他が薄いので、妙に浮いてしまっています。 そう、すべてがライトな印象。

設計図のコンペあたりまでは、面白そうだったのだが、中盤以降、二度もうたた寝してしまった。

随所で配役の妙が光る好作品 2010-01-31
織田信長に安土城築城を命じられた宮大工の棟梁岡部又右衛門、彼がその着手から城を完成させるまでの数年間を描いた映画だ。映画が始まって早々、信長が命じた基本設計を無視した指図争いの顛末、敵対する武田陣内へ単身乗り込んでいっての資材調達など、彼が命を賭した数々のエピソードに知らず引き込まれていく。とにかく仕事の中身に忠実であろうとする彼の生き様、執念は爽やかですらある。加えて彼とそれを取り巻く人々の人物描写も魅力たっぷりだ。とくに又右衛門の妻田鶴が自棄になりかけた彼を諭すシーンはその心栄えの高さに涙なくしては見れない。いい芝居をした大竹しのぶを誉めたいものだ。さて数々の修羅場を経た城作りの最後の最後にまた大問題が持ち上がる。この問題に人心がひとつになって立ち向かうシーンは圧巻、息を呑む。最後に又右衛門の吐く「お前たちこそ神の手じゃ」のせりふは泣きの西田敏行ならでは。この映画の主人公役として彼がピタリと嵌るこの瞬間、もう一段も二段もこの映画を見た満足感が高まるのを感じることだろう。

城を築城する困難が良く伝わる素晴らしい映画でした。 2010-01-28
日本の全ての高層城殻の始祖と云ってもよい安土城の、

神秘・優雅さ・壮大さとそして、ミステリーを知るのに大変良い映画と思います。

映像の美しさはゆうに及ばず、 主人公の岡部又衛門を演じる西田敏行さんの名演技が冴え渡り又 、 当時の棟梁という特異な業種の岡部を陰ながら支える妻役も、 現代の女性には到底理解し得ないと思える当時の女性の心理描写も含めて、 大竹しのぶさんが見事に演じきってました。

又、織田信長を演じる椎名桔平さんも、昔から気性の荒い侍を演じさせると冴え渡る方ですから、 今回の演技も素晴らしいの一言に尽きました。
映画全篇を通してとても素晴らしいものでしたが但し、残念な部分もあります。

まず余計とも感じられたのは、原作にはないラブロマンスです。
それに時間を割く位なら、もっと原作の様に建築にまつわる人達の描写を深く掘り下げて欲しかった。

又近年の映画に多い事ですが、 映画全体を支える熟練俳優の演技が冴え渡る中、一部の若手俳優の演技力の未熟さが際立ち残念です。
話題作りの為には仕方ないのでしょうね。

それともう一つ。

当時の棟梁という過酷な職業の人が、あんなに太っているとはとても考えられず、 西田さんの演技の素晴らしさと相反したマイナス要素でした(これも仕方ないですが)。
いくつか残念な点もありましたがそれでも、 城を建てる事に的を絞り更には、戦国武将モノで合戦シーンが無いという珍しいこの映画は、 日本の築城建築の凄まじさを知る上でも、良い意味で異色であり比類ない作品でした。


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しんぼる [DVD] /松本人志

しんぼる [DVD]しんぼる [DVD]
出演:松本人志
よしもとアール・アンド・シー
発売日 2010-02-03
オススメ度:★★★



grest!!、、、、すばらしい 2010-02-10
劇場公開は気づいた時には終わっていたので、DVDで拝見しました。
鑑賞後、すぐにネット上での評価を見て回りましたが、いわゆる「松本信者」といわれる方さえこの映画の評価が低いことに少しとまどいを感じています。
たとえば、この映画内でも、何箇所も前振りとオチが繰り返されますが、一度オチ前で「一時停止ボタン」を押し、自分自身でオチを予想、あるいは別のオチを想定してみてください。
そうすればこの映画の、そして松本人志の作品すべての印象が変わってくるのではないでしょうか。

こんなにすばらしい映画を撮っても正当に評価されないのは非常に残念、、、自分が監督本人だったらと思うと胸が痛みます。

コントしんぼるw 2010-02-09
僕的には松っちゃんが演技してるってだけで面白かったですね。
人が追い詰められた時に見せる仕草、表情、セリフすべてが松っちゃんワールド!
かなり笑わせてもらいました。
この映画の流れとして、アクシデントが起こる→松っちゃんのリアクション、の繰り返しなんですが、松っちゃんのリアクションが面白い!次はどんなアクシデントが起きて、松っちゃんはどんなリアクションをするのか、ていうのがすごくワクワクしましたね。
大日本人は多少なりストーリーに流される部分があったと思うんですが、これに関してはやりたい事やってるなーって感じでした。てかコント?w
松っちゃん好きなら見て損はないと思いますよ。

意味がわからん?? 2010-02-09
面白い 面白くない どっちと聞かれたら、面白いです。ただ主人公が松本人志ではなく、山崎邦正ならもっと面白いと思う。 ラストはよく分かりません。

わかりやす過ぎて物足りない 2010-02-09
海外を意識して作ったものでしょう。
大日本人もわかりやすかったですが、これは非常にわかりやす過ぎて次の展開が読めます。
多少は見る側の事を配慮して作るのはいいんですけど、これは見る側に寄り過ぎ。
これだったら映画ではないですが、『ごっつ』や『ビジュアルバム』を見ていた方が断然いい。

ん? 2010-02-08
DVD買うくらいにはすきと思った
映画として見なければおもしろい

でもまっちゃんがやってるからおもしろいってのはある もしくは山崎邦正にやってほしい
箱の中のシーン以外は早送りでもいいけど そんな酷評されるほどかなあとは思う


面白かったです。 2010-02-02
普通に面白かったです。
映画館に見に行った時も一緒に見に行った友人と笑いをこらえるのが大変なくらい笑いました。
中盤の白い部屋から脱出する為にいろいろ試すのですがそこが特に面白かったです。
ただエスカルゴマンのくだりはちょっといらなかったかなっと思いました。エスカルゴマンのくだりが無ければ逆に笑い疲れたり飽きたりするのかもしれないけど…
それでも映画館で映画を見終わった後は早くDVD欲しいなぁって思いました。

前作の大日本人は私には合わなかったしいい映画では無かったので今回のは普通に楽しめました。
松本人志ってだけでいろいろ言われてましが松ちゃんだからってとかじゃなくて純粋に見たら割りと楽しめる映画だと思います。

良いエンターテイメントではあると思います。 2010-01-26
松本人志と言えば、既にテレビでは、前衛的な若手から、また芸術的観点から見て、もう邪魔な存在でしかないと思われます。
彼はいつの間にか、安心して見られる、お茶の間のタレントと化したという、僕の認識は、そう間違ってはいないでしょう。
それを踏まえて、この映画ですが、これは凄く楽しんで見れました。
すごく正直で、荒削りで、青臭い、そんな印象です。
が、それでいて、この映画のメッセージ、本質は、前衛的なものなどでは全然なく、ありふれたものの様に思えます。

すごく正直、青臭い、荒削り、そこが面白く、評価出来るのですが、本質はありふれたものだという感想です。

エンターテイメント映画としては良いと思いますが、不変的な輝きを湛えた時代を超える傑作ではないと思われます。


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レスラー スペシャル・エディション [DVD]

レスラー スペシャル・エディション [DVD]レスラー スペシャル・エディション [DVD]
出演:ミッキー・ローク /マリサ・トメイ /エヴァン・レイチェル・ウッド
NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
発売日 2010-01-15
オススメ度:★★★★




胸に沁みる映画。 2010-02-10
 かつてのミッキーロークを知っている観覧者は、主人公の生きざまをミッキーのそれに投影してみてしまう。もしかしたら、それを意図して、製作者側はミッキーを起用したのかもしれない。
 また、主人公の職業がプロレスラーである点も興味深い。落ちぶれた舞台役者でも良かったのだが、おそらく、主人公の身体的な損傷を描くために、製作者はプロレスラーという職業を選んだのだろう。そしてミッキーが実際にプロレスを演じるというギミックまでもスパイスとして用いている。ここで吹き替えを使ったら、ミッキーと主人公を重ね合わせたい観覧者の希望に水を差すことになるからだ。

 さらには、恋人(?)にメリサトメイを起用した点もなかなかに考えさせられる。文句なく美しく、スタイルも良いし、実力もキャリアも十分の女優なのだが、メガヒット映画のヒロインを演じるような、スター中のスターというわけでは決してない。

 演ずる人々の実社会における立ち位置までをも上手に取り込んだ本作は、おそらくは徹底的に作りこまれた脚本によって、じつに見事な作品になっている。そのため、本作には数回の観賞に耐えられるようなチカラがある。

齢(よわい)いってこそ 2010-02-05
『ホームボーイ』と一緒に購入しました。10数年前のホームボーイとは違い、他のレビューにもあった通り、在る意味救いの無い作品。故に40男には身につまされる。“オンリーワン”の是非を考えてしまいます…。

最初は「ロッキー」かと思ってましたが、いやいや・・ 2010-02-01
ミッキー・ロークの私生活や長年干されていたなどを知らずに見ても十分感動できますね。これは心臓病で倒れ、娘にもプロレスにも捨てられてしまいそう、という点で「ロッキー」よりずっと惨めかもしれません。
でも、自分にはほかに何もない、プロレスあるのみ、と覚悟した後は、あまり多くを語りません。
寡黙に、最後のリングに上がり、ラストはもしかすると「死」で終わったかもしれません。そういう暗示があったように思います。でもおそらく主人公にはバイト先で心臓が止まるより、ずっと幸福な死であったことを信じることができました。

人の生き死には医者の専売特許ではなくその人個人のもの、他の誰のものでもないことを今さら痛感させられました。

疎外された男の行き倒れの物語 2010-01-31
旧聞だけど2009年度のオスカーのノミネートを見て、いちばん驚いたのは、「ミッキー・ロークが主演男優賞候補!」という報道である。ミッキー・ロークってあのミッキー・ロークである。億にひとつのチャンスをつかみ、「セクシー俳優」「トレンディ俳優」として世界的なヒットを飛ばし、スターダムにのし上がったが、キャラクターに難がありすぎるために、アメリカンドリームを体現するまでに至らず、いつの間にか消えちゃった人だ。

その「ひとりよがりな不器用さ」と、「世渡り下手」が災いし、芸能人としてうまくいかなくなると、今度は趣味(だろうとファンみんなが思っていた)ボクシングにのめりこみはじめ、アーッ!ミッキーの命より大切な顔があっ!!!「ボクサーの顔」と化し、アイドルなのに顔が変形するまで殴り合いに夢中になってどうする?みたいな、「残念!」なニュースしか聞いていなかった。消えちゃったね・終わっちゃったねという印象しか持っていない日本の洋画ファンの前に、いきなり「オスカー主演男優賞候補!」である。ロイヤル・ストレート・フラッシュを決めてみせた。

若き日のミッキーの映画って、「ランブルフィッシュ」も「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」も「ナイン・ハーフ」も、単に綺麗で雰囲気のある男だからみんなで鑑賞していた・・みたいなほとんどアイドル路線で、誰も彼を「演技派」とは呼んでいなかったような・・・おぼろげな記憶。
で、今月1月にその「レスラー」がDVDリリースされたので、早速借りて見た。

結論から言えば、「レスラー」は、端正で かなしい よい映画です。うん。★★★★☆。
でもこの話って、どっかで見たような・・・と思ったら、ミッキー自分の昔の主演作をリメイクしたの。

1988年、女子高生だった私は、ミッキー主演の映画「ホームボーイ」を劇場で観た。はっきり言おう。世紀の駄作だった。★★☆☆☆がいいとこ。これからDVD借りてみようかという人はもう一度、DISCUSで検索しなおしたほうがいい。死を宣告されたボクサーが、恋人のために命を賭けて闘い、試合に負けたが、ラスト恋人が彼を温かく待っていて・・という内容だけど、退屈。

しかしこの駄作は、ミッキー・ローク的には「原点」というか、彼自身が掘り下げて取り組まなければならないテーマだったらしく、その年月と試行錯誤の努力の跡がはっきり見えるのが「レスラー」なのだ。「レスラー」の最後で、ラムが見物客に向かって、「俺に“辞めろ”という資格があるのはファンだけだ」と言うシーンがあるけど、負け犬だ、世渡りベタだ、才能がない、と叩かれながらも「自分の居場所がここしかない」と開き直るためには、すべてを失わなくてはならなかった中年の男の遺言がぐさっと突き刺さるのである。

映画「レスラー」は「ロッキー」ではない。スタローンは勝ち残った。今回のミッキーの映画は、「疎外された男の行き倒れの物語」である。だから、かなしい。暴力シーンばかりが続くのに、ここまでセンシティブとは。キャラはどれもこれも傷つきやすく、端正な連中である。画面をつくりこまないので自然光に近いシーンが続き、つきはなしたようなセリフ回しが妙にこたえる。

医師「死にかけたんです。次はどうなるか分かりません」

ラム「なあ先生。・・・結構な話をどうもありがとう」

心臓発作のバイパス手術のあと凹んでしまうラム。話題を呼ぶはずの、おそらくはラムにとって有終の美となるはずのタイトルマッチがすぐに近づいているのだ。

ラム(ミッキー)は、どさ回りのプロレスラー。かつては有名レスラーとして稼いだ時期もあったが、今は住所不定のトレーラー生活で独身。ガールフレンドのヌードストリッパーのパム(オスカーゲット!やったね!)とは純愛モード。パム「あなたはお客よ。お客とは一線を超えないの」

心臓手術のあとで試合をすれば命もあやうい。さすがに動揺したラムはパムに打ち明ける。住所不定の馴染み客に頼られたって困るパムは「別れた娘にあってみたら?」と助言し、ラムはかつて置き去りにした娘に会いに行くが拒絶される。

ラム「俺はボロボロのクズで、孤独だ。自業自得なんだが、お前にだけは嫌われたくない。お前は俺の娘だ」

映画を通して、父娘2人の感情はすれ違い続ける。いや、実の娘と、だけではない。ラムのような男は、パムとも、誰とも、感情の盛り上がりがずっとすれ違い続け、どこかにたどりついたということがない。

自分が過去の人間であることばかりを痛感させられるラムだが、試合に臨む横顔はどこか吹っ切れていてさわやかだ。最後の最後で自分の気持ちに気が付き、職場放棄して、試合会場に飛び込むパムの前に現れたラムとのやりとりも・・・すれ違う。心臓は大丈夫なの?

ラム「俺にとって痛いのは外の現実のほうだ。もう誰もいない」

パム「いるわ」

ラム「あそこが俺の場所だ」

ミッキー・ロークには疎外された行き倒れの男の役がよく似合う。アンチヒーローと呼べるのかどうか分からないが、こういうジャンルの男の生き方を「極めて」いけば、新規顧客開拓できるかもしれない。

娘との対話シーンに涙 2010-01-31
 ミッキー・ロークといえば、私にとっては「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」よりも「ナインハーフ」や「エンゼル・ハート」のセクシー俳優のイメージである。特に「エンゼル・ハート」は禍々しい原作の世界をよく再現していて、「オールドボーイ」にも通じる近親相姦シーンが衝撃的だった。しかし、この作品では彼の色男ぶりはもちろん、かつての面影すらないと言っていい。「シンシティ」は共演者たちも多彩であり、ミッキー・ローク自身のインパクトはそれほどなかったので、この「レスラー」でミッキー・ロークの新たな一面を発見した感が強い。

 四半世紀に及ぶプロレスファンの私から見てもミッキー・ロークのプロレスラーぶりは違和感がなく、アメリカン・プロレスの世界にしっかりはまっていた。スタントマンを使っているシーンがあったとしても、ミッキー・ロークは単なる肉体改造だけでなく、トレーニングもみっちり積んだに違いない。演技力以上に肉体に説得力があった。

 80年代半ばにMSGを熱狂させたスーパースターといえばハルク・ホーガンだが、「ランディ」という名前からはランディ・サベージも連想させる。実際に肉体にダメージを蓄積しながら老いてなお戦い続けなければならないプロレスラーや、筋肉増強剤の使用などの影響もあって心臓疾患によって急死したプロレスラーも少なくない。かつて自分たちを熱狂させたプロレスラーの悲報を聞くたびに何ともいえない気持ちになるのだが、この作品はプロレスファンを超えて中高年の共感を呼ぶに違いない。

 ラストは見る側に下駄を預けた感じだが、いずれの結末を選んでもすっきりしない気持ちが残っただろうし、これはこれでよかったとしよう。外枠は似ていないこともないが、スタローンの「ロッキー」とは違った味わいがある。


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movieを鑑賞する人
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映画鑑賞、スポーツクラブ通い
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